『調色の達人ブログ』をいつもご覧頂きありがとうございます。
今回の担当はモーリスです。
さて、弊社で行っている調色には、建築塗料や工業用塗料の汎用品の他に、特殊な用途で使用される塗料の調色があります。今回はその特殊塗料調色ご紹介したいと思います。
弊社では、高度な調色技術をご信頼頂き、長年に渡り重防食専門の大手塗料メーカー『ジャパンカーボライン社』の調色を手がけて参りました。
ちなみにジャパンカーボライン社は、塗料業界において優れた技術力を有する重防食専門の大手塗料メーカーとして、世界各地の原子力発電所をはじめ化学・石油・上下水処理・製紙などのプラント類、橋梁・交通・鉄塔などの大型構造物、そして船舶・海洋開発プラントの重防食分野に多大な実績を誇っています。
その中でも特に調色センターでは、ジャパンカーボライン社の数ある製品群のうち、主に厚膜形ポリウレタン樹脂塗料と厚膜形変性エポキシポリアミン塗料の調色を行っております。
そこで今回は、厚膜形ポリウレタン樹脂塗料の調色について解説してみましょう。
この塗料のタイプは、アクリル脂肪族ポリウレタンとするカーボライン133HBです。
このHBグレードという種類の塗料を半ツヤ仕上げとし、HSグレードのツヤ有りと区別します。
この塗料は、優れた耐候性があり、酸・アルカリ・塩・水がかかる厳しい条件にも耐えうる上塗り塗料です。
このような特殊塗料の調色というのは、かなりの調色技術力を要します。
と言いますのも、ジャパンカーボライン社の特殊塗料は大変厳しい環境で使用されることもあり、塗料についても高耐久性を可能にする独自の特殊成分が配合されていることもあり、今回調色を担当した技術者も「ジャパンカーボライン社の特殊塗料調色は慣れるまで時間がかかる。」「特殊塗料調色を経験している者でも、ジャパンカーボラインの調色がしっかりと出来るようになるまでに3ヶ月以上はかかる。」と言っていました。
たとえば、他の塗料の調色とどのように違うのでしょうか。
まずは、硬化剤の配合という点です。通常2液性の塗料というのは硬化剤が入り塗膜になりますが、ジャパンカーボライン社の調色は調色の段階で硬化剤を混ぜて色を確認していきます。
それは、ジャパンカーボライン社の特殊塗料の場合、硬化剤を入れることによって色の変化がある塗料なので、硬化剤を加味した調色技術力が必要になってくるからです。
写真は硬化剤を量りの上にのせたものです。実際の一斗缶の容量の1/1000(1000分の1)で硬化剤の割合をきっちりはかります。
0.2gの硬化剤
基剤(色目)を1.8g入れて2.0gにしました。
配合比は一斗缶で18:2ですから、1/1000で1.8g:0.2gになります。
調色技術者は、「まず、この配合をきっちり量ることが大事だ」と言っていました。
こうして硬化剤をいれたものをよく混ぜ合わせ、そして色を見ていきます。
このように、ジャパンカーボライン社の特殊塗料の場合、必ず硬化剤を入れて色を見ていくという点で手間も時間も掛かるのです。
1/1000とはまた微量でなんとなく細かい感じがしましたが(苦笑)、そこはシビアな匠の職人です。材料は大切にムダのないように・・との事(笑)。こうして硬化剤を入れて色を見ていくのも、特殊塗料であるジャパンカーボライン社の塗料は値段も高いので(苦笑)、一度に色を合わそうとして間違って、クライアント様に対してムダ、ロスを出さないようにする為の大切なひと手間なのです。
カーボライン133HB基材です。
硬化剤やカララント。硬化剤もウレタンとエポキシと種類が違いますが、ウレタンの
硬化剤の色が乳白色に対してエポキシの硬化剤は黄土色をしていて、かなり調色の
際に影響しそうな濃色となっています。
攪拌の様子
調色に必要な材料を各種取り揃えています。
何度も先程の要領で調色をして色目を乾燥させ色目を確認します。
微妙な色差も弊社の調色技術者の目は、見逃すことはありません。繰り返し色を確認し、
このような色目確認の塗板カードを何枚も作成します。そうした過程を経て、
この日もジャパンカーボライン社の厚膜形ポリウレタン樹脂塗料の調色が数十缶上がり、
メーカー様へ出荷されていきました。
調色センターでは、ジャパンカーボライン社をはじめとする、大手塗料メーカー様からの直接のご依頼にも迅速にご対応させて頂いております。
尚、上記のような重防食塗料をはじめとする、あらゆるメーカーの特殊塗料調色にも対応が可能です。特殊塗料調色のご用命の際には、当社調色センターまでお気軽にご相談ください。高度な調色技術でハイクオリティな仕上がりをご約束いたします。